世間はてんでバラバラで、デタラメだ。
この物語の世界は、私たちが知っているのとは大きく違う。
例えば、この星は、象と亀と蛇で、できている。
言語も、体も、音も、私たちのそれとは、ちぐはぐ。
この物語は、そんな、デタラメな世界を舞台に、はじまる。
*** 第一幕 / ファーレ 旅立つ ***
ここは、とある田舎の一軒家。
その家で暮らす、1人の女の子。彼女がこの物語の主人公、ファーレである。
ファーレには、お父さんもお母さんも、いない。
彼女を世話しているのは、レッサーパンダ先生。
レッサーパンダ先生は、ファーレに熱心に音楽を教えている。
しかし、ファーレには、生まれつき「ファ」と「レ」の音しかうたえない。
ファーレは、そんな自分に、世間に、疑問を持っていた。
ファーレの疑問を、唯一、受け止めてくれるのは、ファーレの友達、ポリ夫。
神出鬼没なポリ夫は「ン」しか話せない。
そして、ある日、ファーレは、レッサーパンダ先生から、ある事実を告げられる。
家を飛び出したファーレは、最初の記憶である「子守唄」を口ずさむ。
ファーレは、まちへ出て、親を探すことを決意する。
象使い5$の連れた象に乗ったファーレは、レッサーパンダ先生に大きく手を振りながら、旅立つのだった。
*** 第二幕 / ファーレ 決意する ***
旅立ちから、数年後。
ファーレは、仲間と一緒に、まちにある劇場の裏で、暮らしていた。
親に反発し家出したbable、親に売られたあしのうらみょうが、がファーレの仲間。
3人は、たわむれに音を盗み、まち奉行の人生に追われながら、生活していた。
ファーレは、親を探していること、うたうたいを目指していることを誰にも言えずにいた。カレーレディオを隠れて聞いていることも。
ファーレは追いかけることもあきらめもできない現状に悩んでいる。
そんなとき、ファーレたちのアジトを突き止めた人生がやってくる。
しかし、人生は、ファーレに、明日の夜、劇場で開かれる作曲家アロンアロハのオーディションをうけさせようとする。
しかし、不幸にも、ファーレは、岡っ引きたちにつかまってしまう。
bableとあしのうらみょうがと人生は、ファーレを救出しようと結束するが……。
*** 第三幕 / ファーレの結婚式 ***
あのオーディションから、数年。ここは、結婚式の会場。
今日、ファーレと、アロンアロハは、結婚する。
あの日、アロンアロハは、ファーレに恋に落ちたのだ。
会場には、ファーレが出会った人々が、みんないる。
ファーレと人々の思いは、結婚式をかけめぐる。
ファーレは、新人うたうたいの地引網のマネージャーとして働いていた。
ある日、ファーレは、地引網の手引きによって、カレーレディオで、子守唄をうたう。
そのうたを聞いた、カレーライスに衝撃が走った。
それは、カレーライスにとって封印されたある記憶を呼び起こすものだった。
そしてカレーライスは、ファーレに、真実を告げる。
真実を聞いたファーレは……。
そんな、いくつかの過去や、人々の思いは、結婚式に、まちに、世界に、響く。
そして、ファーレが、うたえば……。
* * * * *
演劇からも音楽からもダンスからも、
東京からも三重からも高知からも水戸からも、同じ距離にある新しい音楽劇。
第54回岸田國士戯曲賞受賞作『わが星』で最高のコラボレーションを見せた、
柴幸男(ままごと)×三浦康嗣(□□□)×白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)が、
4つの街と戯れながら4つのmixを奏でます。